この記事のポイント
- 家賃は 事業で使った割合だけ を経費にできる(家事按分)
- 賃貸は「地代家賃」の事業使用分を計上する
- 持ち家は家賃がないため、減価償却費・固定資産税・ローン利息 などを按分
- 按分の基準は 床面積や使用時間 など、合理的に説明できるもの
1. 結論
フリーランスが自宅で仕事をしている場合、家賃は 事業で使っている割合だけ を経費にできます。これを家事按分といいます。全額を経費にはできませんが、仕事に使うスペースや時間に応じた分は、地代家賃として正しく計上できます。
賃貸か持ち家かで扱いが変わるため、この記事では両方のケースと、按分割合の決め方を整理します。
2. なぜ家賃の全額は経費にできないのか
自宅は「生活の場」と「仕事の場」を兼ねています。家賃のうち生活のための部分は経費になりません。そこで、事業に使っている割合を合理的な基準で算出し、その分だけを経費にするのが家事按分の考え方です。
経費全般の考え方は 個人事業主の経費とは何かをわかりやすく整理 でも解説しています。
3. 按分割合の求め方
按分の割合は、次のような基準で決めます。税務署に説明できる合理的な根拠があればよく、複数を組み合わせても構いません。
| 基準 | 考え方 |
|---|---|
| 床面積の割合 | 仕事専用の部屋の面積 ÷ 住まい全体の面積 |
| 使用時間の割合 | 1日のうち仕事に使う時間 ÷ 24時間 など |
| 部屋数の割合 | 仕事に使う部屋数 ÷ 全部屋数 |
もっとも使われるのは床面積割合です。ワンルームなど区切りがない場合は、使用時間や、仕事に使うスペースの面積で見積もります。
4. 賃貸の場合
賃貸なら、支払う家賃のうち事業使用分を 地代家賃 として計上します。たとえば家賃10万円で、事業使用割合が30%なら次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 毎月の家賃 | 100,000円 |
| 事業使用割合 | 30% |
| 経費にできる家賃(月) | 30,000円 |
| 経費にできる家賃(年) | 360,000円 |
敷金は原則経費になりません(退去時に返るお金のため)が、礼金や更新料は事業割合分を経費にできます(礼金20万円未満は一括、20万円以上は繰延資産として償却)。
5. 持ち家の場合
持ち家には「家賃の支払い」がないため、地代家賃という形では計上できません。代わりに、次の費用を事業割合で按分します。
| 費目 | 扱い |
|---|---|
| 建物の減価償却費 | 取得価額をもとに計算した償却費を按分 |
| 固定資産税 | 事業割合分を按分 |
| 火災保険料 | 事業割合分を按分 |
| 住宅ローンの利息 | 事業割合分を按分(元本は経費不可) |
| 管理費・修繕費 | 事業割合分を按分 |
注意したいのが 住宅ローン控除との関係 です。自宅の事業使用割合が大きいほど、住宅ローン控除の対象(居住用部分)は小さくなります。なお事業割合が10%以下なら、全体を居住用として住宅ローン控除を受けられる扱いがあります。どちらが得かは控除額と経費額を比べて判断しましょう。
6. 家賃といっしょに按分できるもの
自宅で仕事をするなら、家賃以外にも次の費用を同じ考え方で按分できます。
- 水道光熱費:電気代を中心に、使用時間や面積で按分
- 通信費:自宅のネット回線・スマホ代を事業割合で按分
自宅を経費にする全体像は 個人事業主が自宅を経費にする方法 で詳しく解説しています。
7. 按分の計算は会計ソフトが正確
按分は毎月・毎年くり返す計算です。会計ソフトなら、家賃や光熱費に 事業割合を登録しておくだけで按分額を自動計算 してくれます。
- 家賃・光熱費の支払いを入力 → 登録した割合で自動按分
- 地代家賃・水道光熱費など勘定科目も自動で提案
- 確定申告書までそのまま作成できる
はじめての方は 個人事業主初心者向け会計ソフトの選び方、進め方は マネーフォワードの使い方を初心者向けに整理 を参考にしてください。
8. よくある疑問
按分割合の目安はどのくらい?
決まった数字はありません。仕事に使うスペースや時間から合理的に算出します。一般的には20〜30%程度に落ち着くことが多いですが、実態に合わせて根拠を持って決めることが大切です。
賃貸契約が「居住用」でも経費にできる?
契約が居住用でも、実際に仕事で使っている分は按分して経費にできます。ただし契約で事業利用が禁止されている場合は、トラブルを避けるため貸主への確認が無難です。
持ち家で住宅ローン控除を受けているときは?
事業割合分の家関連費を経費にできますが、その分だけ住宅ローン控除の対象が減ります。事業割合が10%以下なら控除は満額のまま。経費化と控除のどちらが有利か、金額で比べて決めましょう。
9. まとめ
フリーランスの家賃は、事業で使う割合だけを家事按分して経費にできます。賃貸は地代家賃の事業使用分、持ち家は減価償却費・固定資産税・ローン利息などを按分します。按分の基準は床面積や使用時間など合理的なものを選び、根拠を残しておきましょう。持ち家は住宅ローン控除との兼ね合いにも注意が必要です。
次に読むなら、
- 経費の全体像: 個人事業主の経費とは何かをわかりやすく整理
- 自宅を経費にする: 個人事業主が自宅を経費にする方法
- 税金の全体像: 個人事業主が払う税金の種類を一覧で整理
10. 一次情報(出典)
※家事按分の割合や経費の判断は個別事情で変わります。記載は2026年時点の情報です。判断に迷う場合は 国税庁公式 の情報や税務署・税理士への確認も検討してください。

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