フリーランスの住民税の仕組みと納め方を整理【非課税ラインも】

確定申告

この記事のポイント

  • 住民税は所得税とは別の税で、前年の所得 に対してかかる
  • 中身は 均等割(定額)+所得割(所得に応じた額) の2つ
  • 確定申告をすれば住民税の 別途申告は原則不要(市区町村が計算)
  • フリーランスは 普通徴収で後払い。翌年6月ごろに通知が届く

1. 結論

フリーランスの住民税は、所得税とは別に、前年(1月〜12月)の所得に対してかかる税金です。所得税を確定申告していれば、その内容が市区町村へ共有されるため、住民税だけを別に申告する必要は原則ありません

納め方は、会社員のような給与天引き(特別徴収)ではなく、自分で納める普通徴収が基本です。前年分をまとめた通知書が翌年6月ごろに届き、年4回に分けて後払いします。この記事では、住民税の仕組み・金額の目安・非課税ライン・納め方までを整理します。なお細かな税率や基準は 自治体で異なる ため、最終的にはお住まいの市区町村の情報をご確認ください。

2. 住民税の仕組み

個人の住民税は、正式には 「都道府県民税」と「市区町村民税」を合わせたものです。市区町村がまとめて計算し、通知・徴収します。さらに中身は次の2つで構成されます。

区分 内容
均等割 所得の大小に関わらず、一定額を負担する部分(定額)
所得割 前年の所得に応じて負担する部分(所得が多いほど増える)

大きなポイントは、住民税が 前年の所得をもとに計算される後払い方式 だという点です。所得税がその年の所得にかかるのに対し、住民税は1年遅れてやってきます。独立直後や収入が減った年でも、前年に所得があれば課税されるため、資金繰りの面で意識しておきたいところです。

3. 住民税はいくらか

住民税は「均等割」と「所得割」の合計です。それぞれの標準的な額(標準税率)は次のとおりです。あくまで標準であり、自治体によって上乗せなどの差があります。

区分 標準的な額(年)
均等割(市区町村民税) 3,000円
均等割(都道府県民税) 1,000円
森林環境税(国税・あわせて徴収) 1,000円
所得割 課税所得のおおむね10%(市区町村民税6%+都道府県民税4%)

均等割は標準で合計4,000円で、これに 森林環境税(国税)1,000円 が2024年度(令和6年度)からあわせて徴収されるため、定額部分の負担は合計5,000円が目安になります。所得割は 課税所得(所得から所得控除を引いた額)のおおむね10% です。ざっくりの計算例を挙げると次のようになります。

項目 金額の例
課税所得(前年) 2,000,000円
所得割(約10%) 約200,000円
均等割+森林環境税 約5,000円
住民税の目安(年) 約205,000円

実際には調整控除などで所得割が少し変わるため、これは おおよその目安 です。所得税の課税所得の出し方は 個人事業主の所得税の計算方法をわかりやすく整理 で解説しています。

もう一つ知っておきたいのが、同じ所得控除でも所得税と住民税では控除額が少し違うという点です。住民税のほうが控除額が小さいものが多く、そのぶん住民税の課税所得は所得税より大きくなりがちです。おもな控除の違いは次のとおりです。

おもな所得控除 所得税 住民税
基礎控除 48万円(合計所得により変動) 43万円(合計所得により変動)
配偶者控除(一般) 最大38万円 最大33万円
扶養控除(一般) 38万円 33万円
生命保険料控除 最大12万円 最大7万円

この控除額のズレがあるため、所得税はかからなくても住民税はかかるというケースが起こります。確定申告では所得税がゼロだったのに、翌年に住民税の通知が届くという声が多いのは、この仕組みが理由です。住民税は所得税より少し広い範囲に課税される、とイメージしておくと戸惑いません。

4. 非課税ライン

所得が一定以下だと、住民税はかかりません。基準は「均等割」と「所得割」で分かれており、金額は生活保護基準などに連動するため 自治体で差があります。ここでは多くの自治体で用いられる標準的な目安を紹介します。

ケース 非課税になる目安(前年の所得)
均等割も所得割も非課税 生活保護を受けている、または障害者・未成年者・寡婦・ひとり親で前年の合計所得が135万円以下
均等割が非課税(扶養なし) 合計所得が45万円以下
所得割が非課税(扶養なし) 総所得金額等が45万円以下

扶養している家族がいる場合は、人数に応じて基準が上がります。たとえば均等割は「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)+10万円+21万円」以下、所得割は末尾が21万円ではなく32万円で計算する自治体が一般的です。収入ではなく所得(収入から経費や控除を引いた額)で判定される点に注意してください。給与のみの単身者だと年収110万円前後が目安になりますが、フリーランスは経費の額で所得が変わるため、実額での確認が必要です。

5. 納め方

フリーランスの住民税は、原則 普通徴収(自分で納める方式)です。前年分をまとめた 納税通知書と納付書が、翌年6月ごろに市区町村から届きます。支払いは年4回に分けて行うのが一般的です。

納期の目安(自治体で異なる)
第1期 6月末ごろ
第2期 8月末ごろ
第3期 10月末ごろ
第4期 翌年1月末ごろ

一括で全期分を先に納めることもできます。納付の手段は自治体ごとに広がっており、次のような方法が使えることが多いです。

  • 金融機関やコンビニの窓口で納付書払い
  • 口座振替(申し込めば自動で引き落とし)
  • スマホ決済アプリやクレジットカード、eLTAX(地方税お支払サイト)でのオンライン納付

納期は自治体によって月が前後することがあるため、届いた通知書の記載を必ず確認しましょう。

6. いつ・どこに払うか

住民税は 前年分を翌年6月以降に納める後払い です。納める先(課税される自治体)は、その年の1月1日時点で住んでいた市区町村 になります。年の途中で引っ越しても、1月1日に住んでいた自治体へ1年分を納めるのが基本です。

いつの所得か いつ納めるか どこに納めるか
前年1月〜12月 翌年6月ごろ〜(年4回) その年1月1日時点の住所地の市区町村

この仕組みのため、たとえば独立して収入が減った年でも、前年に十分な所得があれば住民税の負担は前年ベースで発生します。翌年の住民税分をあらかじめ取り分けておくと、資金繰りが安定します。税金全体の位置づけは 個人事業主が払う税金の種類を一覧で整理 で確認できます。

7. 所得税の確定申告との関係

フリーランスにとってうれしいのは、所得税の確定申告をすれば、その内容が住民税の計算にも使われる点です。申告データが税務署から市区町村へ共有されるため、住民税のための追加の申告は原則不要です。確定申告書には住民税に関する記入欄もあり、そこで普通徴収を選ぶこともできます。

一方で、次のようなケースでは注意が必要です。

  • 確定申告をしない場合:所得税がかからない少額の所得でも、住民税の申告(市区町村への住民税申告)が別途必要になることがあります。
  • 副業などで所得が少額の場合:所得税は申告不要でも、住民税は申告が必要なケースがあります。基準の考え方は 副業の確定申告は20万円から?会社員が申告する基準を整理 で解説しています。

つまり、確定申告をきちんと行っていれば住民税の手続きはほぼ自動で進みます。逆に申告をしていないと、住民税だけ別に申告が必要になる場合があるということです。

なお、会社員をしながら副業でフリーランス収入がある人は、確定申告書で住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に選んでおくと、副業分の住民税の通知が自宅に届きます。勤務先の給与天引き(特別徴収)にまとめられにくくなるため、副業分を勤務先に知られたくない場合の実務的なポイントです。ただし自治体によっては普通徴収を選べないこともあります。

8. 所得を正確に出せば住民税も安心

住民税は前年の所得をもとに計算されるため、日々の売上と経費を正確に記録しておくことが、そのまま住民税の適正化につながります。経費の計上漏れがあると所得が大きく出て、所得税だけでなく住民税まで増えてしまいます。会計ソフトを使えば、次のように所得計算を仕組み化できます。

  • 銀行・カードの連携やレシート撮影で、売上と経費の入力を自動化
  • 勘定科目を自動で提案し、集計をリアルタイムに反映
  • そのまま確定申告書まで作成でき、住民税の計算にも連動

はじめての方は 国民健康保険は個人事業主の経費になるか整理 のような控除・税負担まわりの記事もあわせて読むと、税金全体の見通しが立てやすくなります。

9. よくある疑問

赤字でも住民税はかかる?

所得割は前年の所得に対してかかるため、前年が赤字で所得がゼロなら所得割は原則かかりません。均等割も、非課税ライン以下であればかかりません。ただし判定は所得ベースで、自治体基準にもよります。赤字のときの税の扱いは 個人事業主が赤字のとき税金はどうなるか整理 でくわしく解説しています。

会社員から独立した年は住民税がどうなる?

独立した年に納めるのは 前年(会社員時代)の所得に対する住民税 です。会社員のときは給与天引きでしたが、退職後は普通徴収に切り替わり、通知書が届いて自分で納めることになります。前年の給与が高かった場合、独立直後でも相応の住民税が発生する点に注意しましょう。

住民税を安くする方法はある?

住民税は課税所得をもとに計算されるため、所得控除を漏れなく使い、必要な経費を正しく計上することが基本の対策です。国民健康保険料や国民年金、小規模企業共済やiDeCoの掛金などは所得控除の対象になり、結果として住民税の所得割も下がります。節税の全体像は税金の種類の記事もあわせて確認してください。

ふるさと納税をすると住民税は安くなる?

ふるさと納税は、寄附額のうち2,000円を超えた部分が、所得税の還付と住民税の控除という形で戻る仕組みです。控除の多くは翌年の住民税から差し引かれるため、フリーランスも確定申告でふるさと納税を申告すれば、住民税の一部を返礼品つきの寄附に置き換えられます。ただし控除には年収や家族構成に応じた上限があるため、上限の範囲内で利用するのが基本です。

10. まとめ

フリーランスの住民税は、前年の所得に対して、均等割(定額)と所得割(おおむね10%)を合わせて課税される後払いの税金です。所得税の確定申告をすれば別途の申告は原則不要で、翌年6月ごろに通知が届き、普通徴収で年4回に分けて納めます。納め先は1月1日時点の住所地の自治体です。税率や非課税ラインは自治体で差があるため、細部はお住まいの市区町村でご確認ください。所得を正確に出すことが、そのまま住民税の適正化につながります。

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11. 一次情報(出典)


※住民税の税率や非課税の基準は自治体で異なり、個別事情でも変わります。記載は2026年時点の情報です。判断に迷う場合は 総務省公式 やお住まいの市区町村・税理士への確認も検討してください。

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