※この記事にはプロモーション(アフィリエイト)を含みます。
1. 結論:3つの要点
青色申告をネットで始めるなら、最初に「どのルートで申告するか」を決め、全体像をつかむのが近道です。要点は次の3つです。
- ネット化は ①帳簿づけ → ②申告書作成 → ③e-Tax送信 の3ステップ。このうちどこをオンラインにするかでルートが変わります。
- 初心者は会計ソフト方式が無難。①〜③を1つのツール内で一気通貫にでき、迷いが起きにくいからです。
- 65万円控除を狙うなら e-Taxでの電子申告が条件。複式簿記の帳簿とe-Tax送信の両方がそろって初めて到達します。
どこからオンラインにできるのかが曖昧なまま手を動かすと、申告期限の直前で止まりやすくなります。逆に、最初に全体像とルートを決めておけば、迷いなく準備を進められます。青色申告制度そのものの概要は国税庁「No.2070 青色申告制度」を確認してください。ネット申告を始める前に押さえておきたい基礎は青色申告のネット申告の基本でも整理しています。以下、全体像から順に整理します。
2. ネット申告の全体像
「青色申告をネットで始める」とは、次の3つの作業をオンライン化することです。それぞれ担うツールが異なります。
| ステップ | 内容 | 主なツール |
|---|---|---|
| ① 帳簿づけ | 日々の収支記録・勘定科目の分類・年次集計 | 会計ソフト/エクセル |
| ② 申告書作成 | 帳簿をもとに確定申告書・青色申告決算書を作成 | 会計ソフト/確定申告書等作成コーナー |
| ③ e-Tax送信 | 作成した申告書をオンラインで税務署へ提出 | e-Tax |
会計ソフトは①〜③を一気通貫で完結できます。確定申告書等作成コーナーは②③が中心で、帳簿(①)は自前です。エクセルは①の帳簿づけのみで、②③は別途準備します。よくある失敗は、帳簿が完成してから慌てて送信手段を探すパターンです。「帳簿をつける」ことと「申告書を送る」ことは別作業だと意識し、並行して準備しましょう。
とくに③のe-Tax送信は「いつでもすぐできる」わけではありません。送信にはあらかじめe-Taxの利用者識別番号が必要で、取得には少し時間がかかります。マイナンバーカード方式を使うなら、カードの取得や読み取り環境の用意も前もって済ませておく必要があります。つまり「①帳簿」と「③送信手段」は同時並行で進めるのが理想です。どちらか片方だけ完成しても申告は終わりません。
3. 申告ルートの選び方
ネット申告の進め方は大きく3ルートです。「どこまでツールに任せるか」と「狙う控除額」で選びます。
| ルート | 帳簿づけ | 費用感 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 会計ソフト | 口座連携で自動仕訳・集計 | 月額・年額の利用料 | 初心者・取引が多い人・時間を優先したい人 |
| 作成コーナー | 複式簿記の帳簿を自前で用意 | 無料(帳簿は自前) | 簿記に慣れ、取引が少ない人 |
| エクセル | 複式簿記の帳簿を自作 | ほぼ無料(手間大) | 簿記の理解が深く、費用を抑えたい人 |
会計ソフト方式は、仕訳の多くが自動提案され、決算書・申告書の作成からe-Tax送信まで画面の案内に沿って進められます。貸借対照表や損益計算書もソフトが組み立ててくれるため、簿記の知識が浅くても65万円控除を狙いやすいのが利点です。作成コーナー方式は無料ですが、帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)は自分で用意する必要があります。帳簿づけに慣れた人や取引が少ない人向きです。エクセル方式は費用を抑えられる反面、複式簿記の運用に手間と知識が最も求められ、計算式や科目の誤りがあっても自動チェックは働きません。
迷ったら、まず「65万円控除を狙うか」、次に「取引件数の多さ」、最後に「コストと手間のどちらを優先するか」の順で考えると整理できます。控除を狙うなら複式簿記が前提です。簿記に自信がなければ会計ソフト方式が無難で、取引が多いほど自動取り込みの恩恵も大きくなります。会計ソフト選びで迷う方はマネーフォワードとfreeeの比較もご覧ください。
3-1. 会計ソフト方式の流れ
会計ソフト方式は、おおむね次の順で進みます。帳簿づけから送信まで同じツール内で完結するのが特徴です。
- 1. 会計ソフトに申し込み、事業者情報や会計期間を初期設定する
- 2. 銀行口座・クレジットカードを連携し、取引データを自動で取り込む
- 3. 勘定科目を確認・修正しながら1年分の帳簿を完成させる
- 4. 決算機能で青色申告決算書・確定申告書を作成する
- 5. ログイン方式に応じた情報を登録し、e-Taxへ送信する
- 6. メッセージボックスで受付結果を確認し、控えを保存する
口座連携を早めに設定し、月に一度でも勘定科目を確認しておくと、年末に数百件の仕訳をまとめて見直す負担を避けられます。送信本番の前に一度ログインを試しておくと、当日のつまずきを防げます。
3-2. 作成コーナー方式の流れ
作成コーナー方式は、帳簿づけは自前で行い、申告書の作成と送信を確定申告書等作成コーナーで進めます。おおむね次の順です。
- 1. 1年分の複式簿記の帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)を自分で完成させる
- 2. 作成コーナーで青色申告決算書を入力し、貸借対照表・損益計算書を作る
- 3. 決算書の数値が連携された確定申告書に、控除などの情報を入力する
- 4. マイナンバーカード方式またはID・パスワード方式でe-Taxへ送信する
利用料はかかりませんが、帳簿が正しく複式簿記で組まれていることが前提です。仕訳の集計や貸借の一致は自分で担保する必要があり、ここを誤ると決算書の数値もずれてしまいます。
3-3. エクセル方式の流れ
エクセル方式は、帳簿そのものを表計算ソフトで自作します。費用を最も抑えられますが、手間と簿記の知識が最も求められます。
- 1. 仕訳帳・総勘定元帳・貸借対照表などのシートを自作し、計算式を組む
- 2. 1年分の取引を複式簿記の形式で入力し、残高を集計する
- 3. 集計結果をもとに、作成コーナーなどで決算書・申告書を作成する
- 4. e-Taxで送信する(送信手段は他ルートと同じ)
計算式や勘定科目の誤りがあっても自動チェックは働かないため、最終的な数値は自分で検算する前提です。取引が増えるほど管理が重くなる点も踏まえて選びましょう。
4. e-Taxの2つの送信方式
どのルートでも最後の送信はe-Tax(国税庁)を使います。送信方式は次の2つで、必要なものが異なります。
| 方式 | 必要なもの | 特徴 |
|---|---|---|
| マイナンバーカード方式 | マイナンバーカード+対応スマホまたはICカードリーダライタ | カードと読み取り環境があればオンラインで完結しやすい |
| ID・パスワード方式 | 税務署が発行したID・パスワード(カード不要) | カード読み取りが不要。普及までの暫定的な対応とされる |
マイナンバーカード方式は、カードを読み取り暗証番号を入力して利用します。読み取りには対応スマホ(マイナポータルアプリ)またはICカードリーダライタを使います。カードと読み取り環境さえ整えば、利用者識別番号の取得から送信までをオンラインで完結しやすいのが特徴です。毎年続ける人は、一度環境を整えれば翌年以降がスムーズになります。
ID・パスワード方式は、税務署で発行されたID・パスワードを使い、作成コーナーからe-Taxを行う方法です。マイナンバーカードやICカードリーダライタがなくても電子申告できますが、マイナンバーカード普及までの暫定的な対応とされています。すでにID・パスワードを持っている方はそのまま使える場合がありますが、どちらが利用できるか・最新の取り扱いは必ずe-Tax公式で確認してください。
これから準備する方は、マイナンバーカードの取得と読み取り環境の用意を前提に進めると安心です。カードは申請から受け取りまで時間がかかることがあるため、「申告の年に間に合わない」とならないよう早めに手元に用意しておきましょう。スマホで読み取る場合は、自分の機種が対応しているかも事前に確認しておくと確実です。
2方式のどちらを選ぶかは、次の観点で整理できます。毎年継続して電子申告し、各種行政手続きにもマイナンバーカードを使いたいなら、最初に環境を整えるマイナンバーカード方式が結局は手間が少なくなります。一方、今年だけ急いで申告したい、対応スマホやICカードリーダライタがすぐ用意できない場合は、税務署で発行を受けるID・パスワード方式が現実的です。ただしこちらは暫定的な対応とされるため、長く続けるならいずれカード方式へ移行する前提で考えておくと安心です。
5. 青色申告特別控除と必要なもの
青色申告特別控除は10万円・55万円・65万円の区分があり、ネット申告(e-Tax)は65万円控除を目指すうえで重要です。要件は国税庁「No.2072 青色申告特別控除」に基づき、次のとおりです。
| 控除額 | 主な要件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記+(e-Taxでの電子申告 または 優良な電子帳簿保存)+貸借対照表・損益計算書等を期限内に提出 |
| 55万円 | 複式簿記+貸借対照表・損益計算書等を期限内に提出 |
| 10万円 | 上記以外(簡易な記帳など) |
つまり55万円の要件を満たす帳簿を整え、e-Taxで電子申告すれば65万円控除に届きます。同じ複式簿記でも、紙で提出すると最大55万円、e-Taxで送信すると65万円というように、提出方法だけで控除額に差が出ます。複式簿記を満たさず送信だけオンライン化しても65万円にはなりません。「正しい帳簿」と「電子申告」の両方が必要です。
また、青色申告には事前に承認申請書の提出が必要です。原則その年の3月15日まで、新規開業は開業日から2か月以内が期限です(出典:国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」)。未提出のままだと、どれだけ丁寧に帳簿をつけても青色申告特別控除は受けられません。ネット申告かどうか以前の前提手続きなので、まず提出済みかを確認しましょう。
6. つまずきやすい点
はじめての方が止まりやすいのは、次のような点です。事前に知っておけば多くは避けられます。
- 承認申請書の出し忘れ:未提出だと青色申告として扱われず、控除を受けられません。期限を先に確認しましょう。
- e-Tax準備の後回し:マイナンバーカードの取得や利用者識別番号の取得は時間がかかります。年明け前に済ませると安心です。
- 「送信すれば自動で65万円」という誤解:複式簿記など55万円の要件を満たして初めて65万円です。
- 送信後の確認漏れ:e-Taxのメッセージボックスで受信通知(受付結果)を確認し、控えを保存しましょう。
- 暗証番号の失念:カード方式は送信時に暗証番号が必要です。分からないと当日に進めないため、事前に確認しておきましょう。
- 推奨環境の未確認:e-Taxや作成コーナーは対応ブラウザ・OSに制限があります。作業前に公式サイトの推奨環境を確認しておくと安心です。
とくに時間がかかりやすいのが、マイナンバーカードの取得と利用者識別番号の取得です。この2つを前年のうちに済ませておけば、申告期間は「帳簿を締めて、申告書を作って、送信する」ことに集中できます。準備の優先順位は、まずカードと利用者識別番号、次に会計ソフトや帳簿、最後に各種控除の証明書、という順がスムーズです。
7. まとめ
青色申告をネットで始めるには、3ステップの全体像を押さえ、自分に合うルートを選び、e-Taxの準備を早めに進めることが大切です。
- ネット化は ①帳簿づけ → ②申告書作成 → ③e-Tax送信 の3ステップ
- 初心者は一気通貫の会計ソフト方式が無難
- e-Taxの送信方式はマイナンバーカード方式とID・パスワード方式の2つ。最新はe-Tax公式で確認
- 65万円控除は「複式簿記+電子申告(または優良な電子帳簿保存)+期限内提出」が条件
具体的な操作手順を見たい方は青色申告をネット申告で進める方法もあわせてご覧ください。
e-Taxの手続き全体の起点は 確定申告のe-Taxアプリの使い方と必要なもの で確認できます。
※この記事は一般的な判断軸と実務の流れを整理した内容です。税制や手続きの詳細・最新情報は国税庁・e-Taxの公式情報を必ずご確認ください。


コメント