この記事のポイント
- 国民健康保険料は 経費にはできない(事業の費用ではなく個人の支出)
- ただし 社会保険料控除として全額が所得控除 になる
- 国民年金保険料・介護保険料も 同じく全額が社会保険料控除
- 生計を同じくする 家族の分を負担した場合も控除できる
1. 結論
国民健康保険料は、個人事業主の 必要経費にはなりません。事業を行うための費用ではなく、個人の生活にかかる支出だからです。
ただし、損をするわけではありません。国民健康保険料は 「社会保険料控除」として、支払った全額を所得から差し引けます。経費(売上から引く)ではなく、所得控除(所得から引く)として節税につながる、というのが正しい理解です。
2. 「経費」と「所得控除」はどう違う?
| 区分 | 何から差し引くか | 国民健康保険の扱い |
|---|---|---|
| 必要経費 | 売上から差し引く | × 対象外 |
| 所得控除(社会保険料控除) | 所得から差し引く | ○ 全額が対象 |
どちらも最終的な税額を下げる効果はありますが、帳簿上の置き場所が違います。国民健康保険料は経費の欄ではなく、確定申告書の「社会保険料控除」の欄 に記入します。所得税の計算全体の流れは 個人事業主の所得税の計算方法をわかりやすく整理 をご覧ください。
3. なぜ経費にならないのか
必要経費とは「事業の収入を得るために直接かかった費用」です。国民健康保険は、事業をしていてもいなくても、病気やケガに備えて加入する 個人の保険 です。事業の売上と直接の関係がないため、経費にはできません。
同じ理由で、国民年金保険料・所得税・住民税 なども経費にはなりません。ただし国民年金保険料は国民健康保険と同様に社会保険料控除の対象です(所得税・住民税は控除対象外)。
4. 社会保険料控除として全額を差し引く
社会保険料控除の対象になるのは、その年に実際に支払った次のような保険料です。
- 国民健康保険料(または国民健康保険税)
- 国民年金保険料・国民年金基金の掛金
- 介護保険料
- 生計を同じくする家族の分を負担した保険料
これらは 上限なく全額 が所得控除になります。たとえば年間の国民健康保険料が35万円、国民年金保険料が約21万円なら、合わせて約56万円を所得から差し引けます。
家族の分も忘れずに
生計を同じくする配偶者や子どもの国民年金保険料を、あなたが代わりに支払った場合、その分もあなたの社会保険料控除に含められます。世帯でまとめて負担している場合は、誰の所得から控除すると有利かも考えてみましょう。
参考までに、国民年金保険料は全国一律で、令和8年度(2026年度)は月額17,920円(年約21万5,000円)です。国民健康保険料は前年の所得で決まり自治体ごとに異なりますが、所得が大きいほど高くなります。両方を合計すると、社会保険料控除は年数十万円規模になることも珍しくありません。所得控除として大きな効果があるため、忘れずに申告しましょう。
5. 確定申告での入れ方
国民健康保険料は、年明けに送られてくる納付額のお知らせや、口座引落の記録をもとに、その年に支払った合計額を確定申告書の社会保険料控除欄に記入します。国民年金保険料は 「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」 が日本年金機構から届くので、それを使います。
国民健康保険は、国民年金と違って控除証明書が発行されない自治体が多いため、自分で年間の支払額を集計 する必要があります。
6. 会計ソフトで支払いを記録しておく
国民健康保険・国民年金の支払いは経費ではありませんが、事業用の口座から支払っている場合は「事業主貸」として記録 しておくと、年末に支払額をすぐ集計できます。会計ソフトなら、確定申告の画面で社会保険料控除の入力も案内してくれます。
始め方は マネーフォワードの使い方を初心者向けに整理、ソフト選びは 個人事業主初心者向け会計ソフトの選び方 を参考にしてください。
7. よくある疑問
国民健康保険料はどう決まる?
前年の所得をもとに自治体が計算します。所得が増えた翌年は保険料も上がります。所得が低い世帯には軽減制度(7割・5割・2割軽減など)があるため、自治体の案内を確認しましょう。
事業所得を減らせば保険料も下がる?
はい。国民健康保険料は所得連動なので、青色申告特別控除や経費の計上で所得を適正に下げれば、保険料の負担も軽くなります。節税策は 個人事業主の節税対策でおすすめの方法を整理 へ。
事業の経費にできる保険はない?
店舗の火災保険や事業用車両の自動車保険など、事業に直接かかわる保険 は経費にできます。詳しくは 自動車保険を経費にできるか個人事業主向けに整理 を参照してください。
8. まとめ
国民健康保険料は個人事業主の 経費にはなりませんが、社会保険料控除として全額が所得控除 になります。国民年金保険料や家族の分も対象です。経費の欄ではなく社会保険料控除の欄に正しく記入し、控除を取りこぼさないようにしましょう。
次に読むなら、
- 所得税の計算: 個人事業主の所得税の計算方法をわかりやすく整理
- 税金の全体像: 個人事業主が払う税金の種類を一覧で整理
- 節税の具体策: 個人事業主の節税対策でおすすめの方法を整理
9. 一次情報(出典)
経費の考え方の全体像は 個人事業主の経費とは(判断の基準と一覧) で確認できます。
※保険料の決まり方や軽減制度は自治体・年度で異なります。記載は2026年(令和8年)時点の一般的な情報です。詳細は 国税庁公式 やお住まいの自治体の最新情報を確認してください。


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