この記事のポイント
- 節税の柱は 「経費の計上漏れ防止・青色申告・所得控除の活用」 の3つ
- 掛金が全額控除になる 小規模企業共済(年84万円)・iDeCo は効果が大きい
- 経営セーフティ共済 は掛金が全額必要経費になる
- 令和8年(2026年)分から 基礎控除が拡大。控除の取りこぼしを防ぐことが何より大切
1. 結論
個人事業主の節税は、特別な裏ワザではなく 「使える経費と控除をもれなく積み上げる」 ことに尽きます。なかでも効果が大きいのは、掛金がそのまま所得控除や必要経費になる共済・年金制度です。この記事では、効果と注意点を整理し、取りこぼしを防ぐ進め方まで解説します。
2. 節税の手段と効果の早見表
| 手段 | 節税の仕組み | 上限・目安 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 所得控除 | 最大65万円 |
| 経費の計上 | 所得を圧縮 | 実額(事業分) |
| 小規模企業共済 | 掛金が全額所得控除 | 年84万円 |
| iDeCo | 掛金が全額所得控除 | 年81.6万円(2026年) |
| 経営セーフティ共済 | 掛金が全額必要経費 | 年240万円 |
| ふるさと納税 | 寄附金控除 | 所得に応じた上限 |
上から順に見ていきましょう。
3. 青色申告にする(最大65万円控除)
もっとも基本かつ効果的なのが青色申告です。複式簿記で記帳し、e-Taxで期限内に申告するなどの要件を満たせば、最大65万円の青色申告特別控除 を受けられます。所得税だけでなく住民税・国民健康保険料の計算にも効いてきます。
要件の詳細は 確定申告で65万控除を受ける条件 をご覧ください。
4. 経費の計上漏れを防ぐ
使った費用を経費として計上し忘れると、その分だけ所得が大きくなり税負担も増えます。とくに見落としやすいのが次のような費用です。
- 自宅の家賃・光熱費・通信費の事業分(自宅を経費にする方法)
- 自動車関連費(自動車保険を経費にできるか)
- 10万円未満の備品・消耗品
所得を正しく圧縮すれば、所得税の計算もそのまま軽くなります(所得税の計算方法)。
5. 小規模企業共済(掛金が全額所得控除)
小規模企業共済は、個人事業主が 退職金を自分で積み立てる 制度です。掛金は月1,000円〜70,000円(年最大84万円)で、その 全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除) になります。
将来の備えをしながら今の税金を減らせるため、利益が安定してきた事業主に向いています。運営は独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)です。
6. iDeCo(掛金が全額所得控除)
iDeCo(個人型確定拠出年金)も、掛金の全額が所得控除になる制度です。個人事業主(国民年金の第1号被保険者)は 月6.8万円・年81.6万円 まで拠出できます(2027年1月から月7.5万円に引き上げ予定)。
上限や注意点は iDeCoの個人事業主の掛金上限と注意点を整理 で詳しく解説しています。60歳まで引き出せない点には注意が必要です。
7. 経営セーフティ共済・その他の控除
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済) は、取引先の倒産に備える制度で、掛金(月最大20万円・年240万円)が 全額必要経費 になります。小規模企業共済が「所得控除」なのに対し、こちらは「経費」になる点が特徴です。
このほか、社会保険料控除(国民健康保険・国民年金は全額)、ふるさと納税(寄附金控除)なども活用できます。社会保険料の扱いは 国民健康保険は個人事業主の経費になるか整理 を参照してください。
8. やってはいけない「行きすぎた節税」
注意
プライベートな支出を経費に混ぜる、実態のない費用を計上するといった処理は 節税ではなく脱税 です。税務調査で否認されれば、加算税や延滞税の対象になります。節税は「事実に基づいて、使える制度を使い切る」のが大原則です。
9. 会計ソフトで控除を取りこぼさない
控除や経費は、知らなければ使えません。会計ソフトを使えば、確定申告の画面で控除の入力を案内 してくれるため、小規模企業共済やiDeCoの掛金控除なども漏れなく反映できます。
始め方は マネーフォワードの使い方を初心者向けに整理、ソフト選びは 個人事業主初心者向け会計ソフトの選び方 を参考にしてください。
10. よくある疑問
いちばん効果が大きいのは?
人によりますが、利益が安定しているなら 小規模企業共済とiDeCo の組み合わせは強力です。掛金が全額控除になり、将来の資産形成にもなります。まずは無理のない掛金から始めるのがおすすめです。
赤字でも節税の意味はある?
所得がない年は所得控除の効果は薄くなります。ただし青色申告なら赤字を翌年以降に繰り越せます(赤字のとき税金はどうなるか)。
法人化も節税になる?
利益が大きくなると、法人化で税負担を抑えられる場合があります。ただし設立費用や社会保険の負担も増えるため、目安の利益水準を超えてから検討するのが一般的です。
11. まとめ
個人事業主の節税は、経費の計上漏れを防ぎ、青色申告と所得控除を使い切る ことが基本です。とくに小規模企業共済・iDeCo・経営セーフティ共済は効果が大きく、将来への備えにもなります。令和8年分は基礎控除も拡大したので、まずは控除を取りこぼさない記帳体制を整えましょう。
次に読むなら、
- iDeCoの上限と注意点: iDeCoの個人事業主の掛金上限と注意点を整理
- 所得税の計算: 個人事業主の所得税の計算方法をわかりやすく整理
- 税金の全体像: 個人事業主が払う税金の種類を一覧で整理
12. 一次情報(出典)
- No.1135 小規模企業共済等掛金控除|国税庁
- 小規模企業共済|中小企業基盤整備機構
- 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)|中小企業基盤整備機構
- No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁
※控除額・掛金上限・要件は改正されることがあります。記載は2026年(令和8年)時点の情報です。利用前に各制度の公式情報や 国税庁公式 を確認してください。


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