この記事のポイント
- 消費税は原則、基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円以下なら免除(免税事業者)
- ただし 特定期間(前年の上半期) の売上・給与で課税になる例外がある
- 開業して間もない時期は基準期間がないため、原則1〜2年目は免税
- インボイス登録をすると、売上1,000万円以下でも課税事業者 になる
1. 結論
個人事業主の消費税は、原則として「基準期間の課税売上高が1,000万円以下」なら納める必要がありません(免税事業者)。基準期間とは、その年の 2年前(前々年) のことです。
ただし、いくつか例外があります。特に インボイス制度に登録した場合は、売上の大小に関係なく課税事業者 になります。順番に整理します。
2. 基準期間(2年前)で判定する
消費税を納めるかどうかは、原則として2年前の課税売上高で決まります。
| 申告する年 | 基準期間(判定する年) | 結果 |
|---|---|---|
| 2026年分 | 2024年の課税売上 | 1,000万円以下なら免税 |
| 2027年分 | 2025年の課税売上 | 1,000万円以下なら免税 |
つまり、今年の売上が1,000万円を超えても、すぐにその年の消費税がかかるわけではありません。2年後に課税事業者になる、という時間差があります。
3. 特定期間の例外(前年の上半期)
基準期間が1,000万円以下でも、特定期間(前年の1月1日〜6月30日) の課税売上高が1,000万円を超え、かつ同じ期間の給与等の支払額も1,000万円を超える 場合は、課税事業者になります。
従業員を雇わず一人で活動している個人事業主の多くは、給与の支払いがないためこの例外には当たりません。急成長して人を雇い始めた場合に注意 すべきルールです。
4. 開業したばかりのとき
開業1年目は、2年前にあたる基準期間が存在しません。そのため 原則として開業1年目・2年目は免税事業者 になります(特定期間の例外に当たる場合を除く)。
ただし、これは「何も登録しなければ」の話です。次に説明するインボイス登録をすると、この原則は当てはまらなくなります。
5. インボイス登録すると免税でも課税になる
ここが現在もっとも判断が分かれるポイントです。取引先に適格請求書(インボイス)を発行するために インボイス発行事業者として登録すると、売上が1,000万円以下でも自動的に課税事業者 になります。
登録する・しないは取引先しだい
取引先が課税事業者で、インボイスを求めてくるなら登録を検討します。消費者向けや、相手が免税事業者中心なら、登録しない選択も十分あり得ます。登録した場合の負担は 2割特例(2026年分まで)・3割特例(2027〜2028年分) で軽減されます。
判断の材料は 個人事業主の免税事業者とは【条件と判断を整理】、登録しない選択は 個人事業主がインボイス登録しない選択を整理 にまとめています。
6. 1,000万円を超えそうなときの準備
基準期間の売上が1,000万円を超えると、2年後から課税事業者になります。前もって次の準備をしておくとあわてずに済みます。
- 「消費税課税事業者届出書」 を税務署へ提出
- 原則課税か 簡易課税 か、有利な計算方法を検討(簡易課税は事前届出が必要)
- 会計ソフトで 税区分を分けた記帳 に切り替える
計算方法ごとの納税額の違いは 個人事業主の消費税の計算方法をわかりやすく整理 で具体的に解説しています。
7. 会計ソフトで売上と税区分を管理する
課税事業者になるかどうかは、日々の売上を正確に把握できているかが前提です。会計ソフトを使えば、課税売上高の集計やインボイス対応の請求書発行 までまとめて管理できます。
具体的な始め方は マネーフォワードの使い方を初心者向けに整理、ソフト選びは 個人事業主初心者向け会計ソフトの選び方 をご覧ください。
8. よくある疑問
課税売上高に含めるのは税抜き?税込み?
免税事業者の期間は税込みの売上で1,000万円を判定します。課税事業者の期間は税抜きで判定します。判定の時期によって扱いが違う点に注意しましょう。
売上が1,000万円を超えた年にすぐ納税?
いいえ。その年ではなく、原則2年後の年から課税事業者になります(特定期間の例外を除く)。時間差があるので、早めに資金を準備しておくと安心です。
いったん課税事業者になったら戻れない?
基準期間の売上が再び1,000万円以下になれば、原則として免税事業者に戻れます。ただしインボイス登録を続けている間は課税事業者のままです。
9. まとめ
個人事業主の消費税は、基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円以下なら原則免除です。特定期間の例外と、開業直後は原則免税という点を押さえつつ、インボイス登録をすると売上に関係なく課税事業者になる ことを忘れないようにしましょう。
次に読むなら、
- 消費税の計算方法: 個人事業主の消費税の計算方法をわかりやすく整理
- 免税事業者の判断: 個人事業主の免税事業者とは【条件と判断を整理】
- 税金全体の整理: 個人事業主が払う税金の種類を一覧で整理
10. 一次情報(出典)
※判定要件や特例は改正されることがあります。記載は2026年(令和8年)時点の情報です。判断に迷う場合は 国税庁公式 や税務署・税理士への確認も検討してください。


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