この記事のポイント
- 原稿料・デザイン料・講演料など 特定の報酬 は、支払時に源泉徴収される
- 税率は 10.21%(1回の支払100万円超の部分は20.42%)
- 源泉徴収された税は 所得税の前払い。確定申告で精算し、納めすぎなら還付される
- 自分が報酬を支払う側になると 源泉徴収義務者 になることがある
1. 結論
個人事業主が受け取る報酬のうち、原稿料やデザイン料など 法律で定められた特定の報酬・料金 は、支払う側が税金を天引き(源泉徴収)してから振り込みます。これが源泉徴収税です。
天引きされた分は 所得税の前払い なので、損をするわけではありません。年末の確定申告で1年分の所得税を計算し直し、前払いが多すぎれば還付 されます。仕組みを理解しておくと、資金繰りと申告で慌てずに済みます。
2. 源泉徴収される主な報酬
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 原稿・デザイン | 原稿料、挿絵、デザイン料、写真 |
| 講演・技芸 | 講演料、出演料 |
| 士業の報酬 | 税理士・弁護士・司法書士などへの報酬 |
| その他 | 外交員報酬、モデル料、一定の業務委託 など |
すべての報酬が対象ではありません。たとえば一般的なWeb制作やコンサルティングの一部は対象外のこともあります。対象になるかは国税庁 No.2792 で確認できます。
3. 税率と計算方法
源泉徴収の税率は、1回の支払額が100万円以下なら10.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%)です。100万円を超える部分は 20.42% になります。
| 1回の支払額 | 計算式 |
|---|---|
| 100万円以下 | 支払額 × 10.21% |
| 100万円超 | (支払額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円 |
計算例:
- 報酬5万円 → 5万円 × 10.21% = 5,105円 が源泉徴収され、手取りは44,895円
- 報酬130万円 →(130万 − 100万)× 20.42% + 102,100円 = 163,360円
4. 源泉徴収された分は確定申告で精算する
源泉徴収された税は所得税の前払いです。確定申告で1年分の所得税を計算し、すでに天引きされた源泉徴収税額を差し引いて 精算します。
- 本来の所得税 < 源泉徴収済み → 差額が還付される
- 本来の所得税 > 源泉徴収済み → 差額を追加で納める
経費や控除が多く所得が小さい年は、源泉徴収された分が戻ってくることが多くなります。所得税そのものの計算は 個人事業主の所得税の計算方法をわかりやすく整理 をご覧ください。
5. 請求書では源泉徴収額をどう書く?
源泉徴収の対象になる報酬を請求するときは、請求書に 報酬額・源泉徴収税額・差引請求額 を分けて書いておくと、支払う側との行き違いを防げます。
支払調書は届くとは限らない
取引先からは年明けに「支払調書」が届くことがありますが、個人への交付は義務ではありません。届かなくても確定申告は必要です。自分で1年分の源泉徴収額を集計できるよう、請求書や入金記録を残しておきましょう。
6. 自分が支払う側になったとき(源泉徴収義務者)
事業が大きくなり、従業員に給与を払ったり、外注先の個人に対象報酬を支払ったりする と、今度はあなたが源泉徴収をして納める「源泉徴収義務者」になることがあります。
- 原則、徴収した税は 翌月10日まで に納付する
- 条件を満たせば 年2回にまとめる納期の特例 も使える
- 従業員を雇うときは「給与支払事務所等の開設届出書」を提出
ただし、従業員がおらず常時2人以下の家事使用人だけに支払う個人 などは、報酬・料金についての源泉徴収義務が生じない場合があります。自分が義務者にあたるかは国税庁 No.2884 で確認しましょう。
7. 会計ソフトで源泉徴収額を管理する
源泉徴収された金額を取引ごとに記録しておかないと、確定申告のときに集計で苦労します。会計ソフトを使えば、売上の入力時に源泉徴収税額を分けて記録 でき、申告書にも自動で反映されます。
進め方は マネーフォワードの使い方を初心者向けに整理、ソフト選びは 個人事業主初心者向け会計ソフトの選び方 を参考にしてください。
8. よくある疑問
消費税にも源泉徴収はかかる?
原則は税込金額が対象ですが、請求書で報酬と消費税が明確に区分されていれば、税抜きの報酬額 を源泉徴収の対象にできます。請求書は区分して書くのがおすすめです。
源泉徴収されない取引はどうする?
源泉徴収がない報酬は、天引きがないぶん確定申告でまとめて所得税を納めます。源泉徴収の有無にかかわらず、年間の所得をもとに最終的な税額が決まります。
還付はいつ受けられる?
確定申告後、おおむね1〜2か月で指定口座に振り込まれます。e-Taxで申告すると比較的早く処理される傾向があります。
9. まとめ
個人事業主の源泉徴収税は、特定の報酬から 10.21%(100万円超の部分は20.42%) が天引きされる仕組みです。天引きされた分は所得税の前払いで、確定申告で精算し、納めすぎなら還付されます。自分が支払う側になると源泉徴収義務者になる場合がある点も押さえておきましょう。
次に読むなら、
- 所得税の計算: 個人事業主の所得税の計算方法をわかりやすく整理
- 確定申告アプリ: 確定申告のe-Taxアプリの使い方と必要なものを整理
- 税金の全体像: 個人事業主が払う税金の種類を一覧で整理
10. 一次情報(出典)
※税率・対象範囲は改正されることがあります。記載は2026年(令和8年)時点の情報です。判断に迷う場合は 国税庁公式 や税務署・税理士への確認も検討してください。

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